この船、乗客1950人の年齢分布が、ちょっと独特である。
年齢は、2歳から93歳まで。
人生の幅が、太平洋クラス(笑)
体感としては、30〜50代が圧倒的に少ない。
20代は、ポスター貼りまくりのディスカウント制度で、
ほぼ0円参加という強者たちが約70人ほどいるらしい。頼もしい。
そして、何より多いのが元気なシニア層。
とにかく多い。
特に70代が多い……気がする。
いや、80代のほうが多いようにも見える。
しかも、その層、だいたいリピーター。
そう。
この船、リピーター率が高い。
ほんとに高い。
会話の第一声が、だいたいこれである。
「何度目の乗船ですか?」
まず先輩を立てる。
ここ、めちゃ大事(笑)
ピースボートは、春・夏・冬の3コースを3周して、ようやく「初心者脱出」らしい。
近藤家なんて、初心者にもおよばない。
まだ“入門書の帯”くらいの位置である。
そんな私たちの前に現れた、11周目の人。
11周目。
世界を11周。
もはや地球が庭。
噂では、20周以上、いや35周した人もいるらしい。
「ちょっとそこまで」が地球一周の人たちである。
でも、リピーターが多い理由も、乗ってみるとよくわかる。
三食つき。
掃除お任せ。
企画は毎日、大量。
人にも会える。
ひとりにもなれる。
海も見放題。
要するに、日常の面倒はカットして、楽しみだけフル装備。
こうなってくると、もう
「地球を何周する」とか
「どこへ行く」とか、
だんだんどうでもよくなってくるのかもしれない。
ここで見えてくる、船旅の正体。
それが——
動く保養所。
保養所とは、
暮らしの面倒を少し減らしてくれて、
勝手にコミュニティーまで形成してくれる場所である。
この船も、まさにそれ。
食事は基本、相席。
つまり、こちらが望む望まないにかかわらず、一人にはしておいてくれない。
コミュニティーは、こんな感じで形成されていく。
朝。
昼。
夜。
毎回。
「はじめまして〜。大阪から来ました近藤です。よろしくお願いします」
相手の名前。
住んでいる場所。
職業。
旅歴。
脳内ファイリング。
最初は、けっこう律儀にやる。
でもね。
朝・昼・夜。
毎日。
107日。
人間の記憶容量、そんなに大きくない。
気づけば、顔は覚えているのに名前が出ない。
住んでいる県も怪しい。
職業にいたっては、もはや幻。
そして、みんなが悟る。
「……何も、聞かなくてもいいか」(笑)
その代わりに起こるのが、
類は友を呼ぶ現象。
不思議なもので、自然と気の合う人たちが固まってくる。
よく同じテーブルになる人。
よく同じ企画にいる人。
よくデッキで会う人。
なぜか毎回エレベーターで一緒になる人。
名前はあやふやでも、
「あ、また会いましたね〜」
で、ちゃんと会話は成立する。
船内では、肩書きよりも、年齢よりも、
“感じが合うかどうか”のほうが大事になってくる。
会社もない。
家事もない。
近所付き合いもない。
毎日の献立を考える必要もない。
そのかわりにあるのは、
今日の海と、今日の予定表と、今日たまたま隣に座った人。
これが、なかなか不思議な世界である。
旅をしているようで、
暮らしている。
暮らしているようで、
毎日どこかへ向かっている。
しかも、陸の暮らしより、
ちょっとだけ人との距離が近い。
近すぎる日もある。
正直、そっとしておいてほしい日もある(笑)
でも、それも含めて、船内生活。
動く保養所は、今日も太平洋の上を進んでいく。
三食つき。
掃除つき。
海つき。
人間模様つき。
そして、ときどき、名前が出てこない人つき(笑)
🌀To Be Continued🌀
ー洋上でお正月ー
起きたらこんなことになってた〜
デッキへ!